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🔸分類の見方

分類はその本の内容(テーマ)によってつけられる

あるルールに沿って、その本の内容(テーマ)ごとにつけられるのが分類番号です。

たとえば「813.7」という分類番号を例にとりあげると、「813.7」は「新語や流行語・外来語を扱った日本の辞典」につけられる分類番号です。

ほかにも日本のエッセイは「914.6」、水球の本なら「785.4」、パンやお菓子づくりの本なら「596.6」という分類番号がつけられます。

これらの数字はいったい何を表しているのでしょうか。

 

 

最初の数字がグループを表している

分類には大きく10のグループがあり、分類番号の最初の数字がそのグループを表します。図書館ではそのグループを「類(るい)」と呼びます。「813.7」なら「8類」の本、「914.6」なら「9類」、「785.4」は「7類」の本となります。

市立図書館では「日本十進分類法(NDC:Nippon Decimal Classification)」という分類法を採用しています(以下ではNDCと記述します)。10のグループと数字の組み合わせは次の図のとおりです。

 

 

0類は「総記」→ 知識・情報の本が並んでいます。

1類は「哲学」→ 思想・考え方、心などの本が並んでいます。

2類は「歴史」→ 歴史・伝記・地理に関する本が並んでいます。

3類は「社会科学」→ 世の中のしくみ(政治経済・法律…など)についての本が並んでいます。

4類は「自然科学」→ 自然を取り扱った学問(数学・科学・医学…など)について本が並んでいます。

5類は「技術」→ あらゆる技術・工学の本、家政学などについての本が並んでいます。

6類は「産業」→ 農林水産業についての本、商業の本が並んでいます。

7類は「芸術」→ 芸術の本、スポーツの本、諸芸・娯楽の本などが並んでいます。

8類は「言語」→ 言葉に関する本(日本語から各種外国語まで)が並びます。

9類は「文学」→ 小説・詩歌・エッセイなど読み物全般と、文学研究の本が並びます。

このように分類番号の最初の数字は「その本がどのグループ(類)に属しているか」を表す情報です。数字と分類の組み合わせが理解できると、分類番号を見ただけでだいたいどんなジャンルの本か判断することができます。

どのような分け方をしているか、以下で具体的に見ていきましょう。

 

 

 「0から9の数字を使って分ける」を繰り返す分類法、NDC

NDCは、0~9までの10個の数字を使って本を分けていく分類法です。

もう少し正確に書くと、NDCは本の内容を1から9までの数字で9区分し、全体について記述しているもの(総記)には0を使うというルールを持ちます。数字は最低3桁とし、3桁を越える場合は見やすさを考慮して3桁目と4桁目のあいだに「.(ピリオド)」を置きます。市立図書館では最大でも4桁まで数字を取ることとしています。ただし児童書は3桁とし、一般書よりも大雑把に分けています。分類番号の1桁目を「類(第一次区分)」、2桁目を「綱(第二区分)」、3桁目を「目(第三区分)」、そして4桁目を「分(第四区分)」と呼びます。

NDCは、分けることで同じものを集める分類法と言えます。繰り返し分けることで、同じ内容の本は同じ棚にそれと関連が深い本をその近くに集まります。本棚を見ていくと「ここからここまでは数学の本、その隣からは物理の本」という具合に、横と横のつながりが分かります。

 

 

 たとえばNDC100区分だと……

NDCを100こに分けた表(綱目表)が次の図です。0から9までの10のグループをさらに10こずつに分けています。

 

 

 

 実際はもっと細かく分けていて、様々なルールがある

たとえば、パンやお菓子作りの本には「596.6」という分類番号が付けられています。この「596.6」を分解してみると次の図のようになります。

5 技術 >59 家政学. 生活科学 > 596 食品. 料理 > .6 パン. 菓子類 という分類をたどり、パンやお菓子作りの本を示す分類番号「596.6」が作られていることがわかります。

NDCは、単純に10分割を繰り返すだけの分類法ではありません。「補助表」というものを持ち、部分的に記号を合成することができる優れた分類法です。補助表を使って、地理・言語・文学などによる区分を分類番号につけることで、10分割の繰り返しでは表現できないテーマの本にも分類することができます。公共図書館の99%、大学図書館の92%がこのNDCを採用しています。

 

 

分類のまとめ

1.分類番号は、その本の内容(テーマ)ごとにつけられる

2.分類番号の最初の数字がグループを表す

3.市立図書館では「0から9の数字を使って分ける」を繰り返す分類法、NDCを使って本を分けている

4.NDCは分けることで同じものを集める分類法

使い方のコツ!にもどる

 

もっと詳しく知りたい人は、下のQ&Aを見てみましょう。質問をクリックすると説明が表示されます。

分類Q&A

Q1 日本十進分類法(NDC)は誰がつくった?
A1

森淸(もりきよし)という人が作成した分類法です。1929年に最初の『日本十進分類法』が刊行され、版を重ねて現在10版まで刊行されています。5版(1942年)までは森さんの個人著作です。新訂6版(1950年)以降、日本図書館協会が維持管理を行っています。

外国の分類法(分類体系はカッターという人が考えた展開分類法:ECに、アラビア数字を使うのはデューイという人が考えたデューイ十進分類法:DDC)を参考にしています。

Q2 分類の読みかたが知りたい
A2 一つひとつの数字を独立させて読みます。途中の「.(ピリオド)」は「テン」と読みます。

「914.6」なら「キュウ/イチ/ ヨン/テン/ロク」

「813.7」なら「ハチ/イチ/サン/テン/ナナ」となります。

ひと続きのように見える分類番号は、類、綱、目、分の各区分の集まりによって形成されています。そのため一つひとつの数字は独立させて読みます。

Q3 どんなテーマの本でも分類できる?
A3 細かく分類できるため、基本的にはどのようなテーマの本でも分類できます。ただし細かく分けられるゆえに難しい点もあります。それは内容に大きなテーマが複数入っている場合です。

たとえば「建築家が書いたランニングの本」だったらどうでしょう。内容が完全にランニングのことだけだったら「ランニング」の棚に並べることができます。ただし実際はそのようなことは珍しく、ランニングのこと以外にも建築に関することも書かれていたりします。図書館によっては「エッセイ」と分類するところもあれば、「建築」と分類するところもあると思います。

実際に分類を付けるときは、MARCと呼ばれる書誌情報を参考にしたり、他の図書館での分類番号を参考にしたりして、最終的にはその図書館の規則(ルール)に従って分類を付けていきます。

Q4 他の図書館はまた違う分類方法なの?
A4 基本的に同じだと考えてよいと思います。公共図書館の99%はNDCを使っている(厳密にはNDCを下敷きにして細かいところはその図書館が使いやすいようにしている)ためです。

ただし、同じNDCを下敷きに分類をつけていても、どこまで数字を取るか、どのように図書記号をつけるか、という点は図書館ごとにだいぶ差があります。同じ本でも図書館ごとに違う分類番号がつけられていることも多々あります。

たとえば分類番号の桁数。市立図書館では最大でも4桁までとしていますが、図書館によっては3桁で統一している館もあります。また、通常3桁で数字を取っている館でも、分類によって(医学など細分化する必要性が高い内容)は5桁を導入している館もあります。

唯一の国の図書館である国立国会図書館では、NDLCという分類法を使用しています。NDLCでは、和漢書・洋書など国内外から収集したした資料を効率的に分類することができます。NDCのような十進法を使わない、アルファベットと数字による混合分類法です。

Q5 NDCって覚える必要あるの?
A5 単に図書館を利用するだけならば覚える必要はありません(あなたが司書を目指しているなら別です)。ただ、ざっくりとした分類体系を覚えておくだけで、図書館での本の並びが理解しやすくなります。

また自分がよく使う分類番号を覚えておくと、引っ越し先の図書館でも旅先の図書館でも、すぐに自分がよく見る棚を探すことができる利点もあります。

ただし実際には、分類のつけかた(何桁まで数字を取るか)は、図書館ごとにだいぶ異なりますので、あくまで参考として考えてください。

Q6 NDCの全部を見てみたい。
A6 『日本十進分類法 新訂10版 1 本表・補助表編』と『日本十進分類法 新訂10版 2 相関索引・使用法編』(ともに、もりきよし原編、日本図書館協会発行(2014年))を見ると、全貌を確認できます。市立図書館では、蔵書として登録しているため、通常の本と同じように借りて読むことができます。

ただ何度か書いているように、実際はこの通り運用しているわけではありません。NDCを下敷きに図書館ごとに細かな点は変更していますし、数字を何桁まで取っているかという点も図書館ごとに異なります。

区分表は、市立図書館では公開していません。100区分や1000区分程度のNDCならば、<NDC 区分表>などと検索してもらうと、その一端を垣間見ることができます(ほかの図書館の情報がでてきます)。

Q7 補助表のことをもう少し知りたい。
A7 補助表には、一般補助表と固有補助表の2つがあります。

一般補助表は、あらゆる分野に適用できるものから、特定の分野にのみ適用できるものまで全6種類(形式区分、地理区分、海洋区分、言語区分、言語共通区分および文学共通区分)あります。

対して固有補助表は、一つの類のなかで部分的に使われるものです。神道各教派の共通細区分表、仏教各宗派の共通細区分表など、10種類あります。

こちらも『日本十進分類法 新訂10版 1 本表・補助表編』『日本十進分類法 新訂10版 2 相関索引・使用法編』に詳しい記述があります。

 

 

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